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近年盛り上がりを見せている熊本のコーヒーシーン。その中でも2017年八代市にオープンし、店舗や熊本県内のイベント等で様々なコーヒーを提供するENDELEA COFFEE。
21年に京町店をオープンし、熊本を代表するロースタリーカフェとなっています。
今回、Trip Coffeeのパートナー締結に合わせてオーナーの宮崎さんにお話を伺いました。
宮崎さんがコーヒー業界に飛び込んだのは31歳の時、そしてENDELEA COFFEEのオープンは38歳の時でそれまでメーカーで働いていたと伺いました。
サラリーマンからカフェオーナーへの転身は中々勇気がいると思いますが、どういったきっかけがあったのでしょうか。
「23歳からメーカーで働いていましたが、このままサラリーマンとして働いていくことに違和感を感じていました。昔から飲食やアパレルに興味があったのでそっちの道に行きたいなと漠然と考えていたのですが30歳の頃働いていた工場で規模縮小の話が出てきて、それをきっかけに退職しました。もともとコーヒーは好きだったので、退職後はカフェ好きの妻と九州のカフェめぐり等をして過ごしていて、そこで妻とカフェができたらいいね、なんて話をしていました。」
奥様のご理解もあってコーヒーの道に進んだ宮崎さん。
ただ、すぐにカフェオープンとはならず、最初はアルバイトとしてコーヒー業界に飛び込みました。
「将来カフェをやろうという気持ちはありましたが、まずは地元の小さな喫茶店でアルバイトとして働き始めました。それだけだと家族を養うのは難しい面もあったので、宮崎のコーヒーチェーンのアルバイトに応募したところ採用されたのでしばらくカフェのアルバイトを掛け持ちしていました。当時31歳くらいで、ほかのアルバイトの方と比べると年齢が上ではあったのですが店長とは同い年だったり大変よくしてもらいました。また、業務として接客やコーヒーの淹れ方のほか、店舗経営なども学べ、良い経験が出来ましたね。」
30歳を過ぎてからアルバイトで家族のために働きつつ、コーヒーの勉強も進めていたと語る宮崎さん。
一方、コーヒーチェーン店で働きつつスペシャルティコーヒーとの出会いとそれを手掛けたロースターとの交流も始まっていました。
「働き始めたころ、雑誌Brutusでサードウェーブコーヒー特集があり、その時にアメリカのコーヒーショップが魅力的であこがれを持つようになりました。もっとコーヒーの勉強をしたいと考えて、社内試験を受けたりSCAJのマイスターの資格を取得したりしつつ、九州のロースターとも交流するようになりました。同じ熊本のAND COFFEE ROASTERのオーナーだった山根さんや、福岡のマンリーコーヒーの須永さん。それと大分の3 CEDDERS COFFEEの庄司さんなどが思い出されます。庄司さんとは同い年で、確かラテアート教室で出会い仲良くなりました。庄司さんが買い付けた豆を浅煎りにしてコーヒーを出してくれて、その味わいに感動したことが思い出されます。」
そのままコーヒーショップの勤務を続けていくという選択肢もある中、かつて奥様と話したカフェをやるという夢を抱き続けコーヒーの資格取得や自分の店についてもはばかることなく公言していたといいます。
そんな中、いざ独立に踏み切るきっかけは何だったのでしょうか。
「常に独立のことは考えていて、知り合いが地元で今でいうマルシェのような催しに出店するということで自分の名前でコーヒーを売る、という活動を2年ほどやっていました。その時に出会ったお客様が常連様になってくださってますね。独立するきっかけも、コーヒーの資格取得のために夜を徹して勉強している姿を見て妻が後押ししてくれました。そのあと地元の八代でお店を出したいとは思って物件探しをしていたのですがその時熊本地震が起きてしまって……今となっては焦らずに物件を決めなくてよかったと思っています。」
熊本地震の翌年にENDELEA COFFEEが開業。
「地震の後も物件探しをしていたのですが、たまたま入った雰囲気の良いアパレルショップがあり、そこが気に入って初対面にも関わらず図々しく間借りでカフェ営業をさせてもらえないかとお願いしてみたんです。ちょうど横の倉庫が空いているからそこでならいいよ、と驚くほど快く了承いただいてそこがENDELEA COFFEEになりました。」
それまでマルシェ出店などは「宮﨑貴雄コーヒー」と本名そのままで出店していましたが、店舗開業に合わせてENDELEA COFFEEとしてスタート。
ENDELEAはスワヒリ語で「進化・継続」といった意味を持つ言葉です。
「コーヒーが生まれたアフリカの地に所縁がある名前にしたいと思っていて、アフリカの言語であるスワヒリ語で進化で調べたところENDELEAと出てきました。響きもよくこの名前に決めました。ENDから始まるというスペルも後付けにはなりますが気に入っています。」
アルバイトとしてコーヒーショップで働き始めて7年。ENDELEA COFFEEオープン時には38歳となり、40歳目前でのチャレンジとなりました。
それまで主に九州で培ったコーヒー関係者との交流や、これまでの経験からコーヒーに対する見方も変わっていったそうです。
「昔から音楽が好きでバンド活動をしたり、今でもレコードーを買い集めたりしているのですが、コーヒーについても音楽と同じでいろんなジャンルの音楽を聴くようにいろんな味や楽しみ方があってよく、自由に選べるのが良いと思っていて、それが人々に活力を与えると思っています。なので一つのジャンルに縛られることなくいろいろなジャンルの曲を選ぶように、いろんなコーヒーを選べたり知れたらよいなと思い浅煎りから深煎りまで、精製プロセスも拘りなく取り入れて提供できるようにしたいと考えています。」
幅広いコーヒーを体験できるようなお店を考え、オープン当初から自家焙煎で豆の販売を開始。 お店のファンも徐々に増えて、2021年には熊本市に二号店もオープンしました。
「バリスタ経験はありましたが、焙煎経験はありませんでした。でも、せっかくなら自家焙煎でやりたいと思い店舗が決まった後にフジローヤルの1kg焙煎機を導入しました。導入にあたっても、マンリーコーヒーの須永さんが大阪の福島珈琲さんに引き合わせてくれそちらで購入しました。オーナーの福山さんはもとフジローヤルに勤められていた方で、フジローヤルの焙煎機をカスタムできるということで直火式でも直接火に接しないため浅煎りの焙煎も可能な特別なものを用意いただくことになりました。導入当初はまだ焙煎についてそこまで深く理解していなかったのですが、今思い返してもその構造は理にかなっていて今も現役で稼働しています。」
「その後焙煎量が増えて、新しい焙煎機が必要になる引き続き福山さんと連絡を取っていたのですが、ちょうどコロナ前の2021年にドイツでOLD PROBATを購入できたということでそちらを新たに導入しました。1960年製のもので分厚い鋳造のため蓄熱が良く、現行のものより排気が控えめなので熱がこもりやすいので芯までふっくら火が入るのが特徴です。どちらも良い豆が焼けるので、今でもフジローヤルとOLD PROBATの2台で焙煎を行っています。」
ここでも九州でのコーヒーロースターのつながりが活きてきたのですね。焙煎時に意識していることはあるでしょうか。
「焙煎はいろいろ試してプロファイルを汲みたてますが、シンプルに突き詰めると"芯までいかにピンポイントに火を入れるか"を考えています。火を入れすぎると苦くなりますし、入れきれないと香りが立たないので豆に対してそのバランスを調整しています。こと深煎りについては火を淹れつつ深煎りならではのキャラメル感を出すかということを意識していますね。」
50歳を目前に控えても、店舗に立ちつ焙煎やドリップを行う宮崎さん。 地元熊本を中心にしつつも、機会があれば本州にも出向いてコーヒーをふるまいます。
「オーナーとしてビジネスの部分もしっかりやりつつ、目標とするのはコーヒーが好きなので生涯焙煎もドリップもしていきたいですね。自分の好きなことに今後も向き合えていければと思っています。」
【店舗情報】
ENDELEA COFFEE
住所:熊本県八代市横手新町18-1
営業時間: 10:00-18:00
定休日:なし
席数:15席
駐車場:14台
価格:コーヒー1杯500円~
アクセス:JR八代駅または新八代駅から車で15分 SNS:https://www.instagram.com/endeleacoffee
ENDELEA COFFEE 京町店
住所:熊本県熊本市中央区京町2丁目12-75
営業時間: 11:00-19:00
定休日:なし
席数:20席
駐車場:5台
価格:コーヒー1杯500円~
アクセス:上熊本駅徒歩17分
SNS:https://www.instagram.com/endeleacoffeekyomachi/
※最新の営業時間等は店舗に直接お問い合わせください。
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